自転車で通勤している最中、突然リアの変速ができなくなった。
シフトレバーを操作しても、いつものようなクリック感がない。
正確には、ワイヤーを巻き取る方向には操作できるのだけれど、途中からワイヤーをリリースできなくなってしまった。
レバーを動かしても、どこか空撃ちしているような感覚。
……これ、STIが壊れたんじゃないか?
そんな不安が頭をよぎった。
僕が普段通勤に使っているのは、YOELEO G21というグラベルロード。

リアディレイラーにはSHIMANO GRX RX810、STIには105 ST-R7000を使用している。


今回は、このST-R7000に発生した変速不良について、原因の特定から修理までの一連の流れを紹介したいと思う。
結論から言うと、原因はSTI内部でほつれたシフトインナーワイヤーだった。
幸いSTI本体に故障はなく、ワイヤー交換だけで無事に復旧することができた。
同じような症状で困っている人の参考になれば幸いだ。
通勤中に突然、リアの変速ができなくなった
トラブルが発生したのは、いつもの自転車通勤中。
走行していると、突然リアの変速操作に異常が発生した。
具体的な症状は以下の通り。
- シフトワイヤーを巻き取る方向には操作できる
- ワイヤーをリリースする方向には、途中から操作できなくなる
- シフトレバーのクリック感が薄い
- レバーを動かしても、空撃ちしているような感覚がある
- 一定以上、重いギア側へ変速できない
僕のG21はリア11速仕様。
普段はフロントをアウターに固定したまま、リアの変速を頻繁に使っている。
特に信号待ちから発進するときは、停止直前にリアを軽いギアへ落とし、加速しながら重いギアへ変速していく。
そんな使い方をしていることもあり、リアの変速ができなくなるのはかなり困る。
とはいえ、幸い走行自体は可能だったので、そのまま会社までたどり着くことができた。
STI本体の故障を疑った
最初に疑ったのはSTIの故障だった。
というのも、シフトレバーを操作したときのクリック感が明らかにおかしかったからだ。
リアディレイラーの調整がずれたり、ワイヤーの張りが変化したりしただけなら、通常はレバー側の操作感そのものが大きく変わるとは限らない。
しかし今回は、レバー内部の機構がうまく動いていないような感覚があった。
そのため、STI内部のラチェット機構などに問題が発生した可能性を考えた。
ただし、この段階ではまだ原因は分からない。
まずはワイヤーやシフター内部の状態を確認することにした。
ブラケットカバーをめくると、ワイヤーが盛大にほつれていた
帰宅後、STIのブラケットカバーをめくって内部を確認してみた。
すると、そこには予想外の光景が。
シフトワイヤーが、内部で盛大にほつれている。

いや、これはひどい。
ワイヤーを構成する細い素線が何本も切れ、バラバラに広がっている。
しかも、ほつれたワイヤーがSTI内部の機構に入り込んでいるように見える。
これでは正常に変速できなくなっても不思議ではない。
STIの故障を疑っていたけれど、どうやら原因はワイヤー側にありそうだ。
ブラケットカバーは先端側から大きくめくる
今回の点検で一つ注意したいのが、ブラケットカバーのめくり方。
ST-R7000の内部を確認する場合、僕が問題箇所へアクセスしやすかったのは、ハンドルの根元側ではなく、ブラケットの先端側からカバーを大きくめくる方法だった。
少しめくった程度では、問題のワイヤーや内部機構が十分に見えない。
像していた以上に大きくカバーをめくる必要があった。

ただし、ゴム製のカバーを無理に引っ張ると破損する可能性がある。
工具などで傷を付けないようにしながら、少しずつ作業したい。
ほつれたワイヤーが抜けない!
原因が分かったところで、次は破損したワイヤーの摘出だ。
通常、シフトインナーワイヤーを交換するときは、レバーを所定の位置まで操作してタイコを露出させ、ワイヤーを引き抜く。
しかし、今回はそう簡単にはいかなかった。
ほつれたワイヤーが内部で引っ掛かっているため、シフト機構が正常に動かない。
その結果、ワイヤー先端のタイコが見える位置まで移動せず、取り出せなくなってしまった。
ワイヤーを交換したいのに、そのワイヤーが原因で交換できない。
なかなか厄介な状態である。
STI下側のカバーを外してみる
そこで、STIの下側にあるカバーを外してみることにした。
今回のST-R7000では、このカバーがプラスネジ1本で固定されていた。
ネジを取り外してカバーを開くと、内部のシフト機構が露出する。

すると、これまで隠れていたワイヤーのタイコも確認できるようになった。
これなら取り出せそうだ。
今回のように、ワイヤーが内部でほつれてタイコの救出が困難になっている場合、下側のカバーを取り外すことで作業しやすくなる可能性がある。
実際、僕の場合はこのカバーを外さなければタイコを取り出せなかった。

ただし、内部には細かな可動部品がある。
カバーの取り外しは無理に行わず、ネジや部品を紛失しないように注意したい。
また、内部機構を必要以上に分解するのは避けた方がよいだろう。
無事にワイヤーを救出!
内部機構が見える状態になったところで、引っ掛かっていたワイヤーを慎重に取り出した。
そして、無事に摘出できたワイヤーがこちら。

……なかなか壮絶な姿である。
タイコ付近から複数の素線が切れ、ワイヤーの途中までほつれが広がっていた。
よくこれで走れていたものだと思う。
この状態を見ると、ワイヤーがSTI内部で引っ掛かり、変速機構の動作を妨げていた可能性は高そうだ。
内部にワイヤーの破片が残っていないか確認
ワイヤーを取り出したあとも、すぐに新しいワイヤーを通すのは避けた。
今回のように素線が何本も切れている場合、細かな破片がSTI内部に残っている可能性があるからだ。
もし破片が可動部分に入り込んだままになっていれば、再び変速不良を引き起こすかもしれない。
そこで、ライトで内部を照らしながら、切れた素線が残っていないか慎重に確認した。
特にワイヤーが巻き取られる部分や、その周辺の隙間を重点的に点検した。
細い金属片は見落としやすいので、明るい場所で作業することをおすすめしたい。
ワイヤーを抜いたらSTIが正常に動いた!
さて、ここで一つ確認したいことがある。
STI本体は本当に無事なのだろうか。
破損したワイヤーを取り除いた状態で、シフトレバーを操作してみた。
すると……。
11速分、正常にシフト機構が動いた!
クリック感も戻り、ワイヤーの巻き取り・リリースに相当する動作が問題なく行える。
どうやら、STI内部の機構自体は壊れていなかったようだ。
最初はSTIの交換まで覚悟していたけれど、結果的にはワイヤーの破損だけで済んだ。
これは本当に助かった。
もちろん、レバーが動くことだけで内部のあらゆる損傷を否定できるわけではない。
それでも、今回の変速不良については、ほつれたワイヤーが主な原因だったと考えてよさそうだ。
新しいシフトワイヤーへ交換
原因が分かったところで、新しいシフトインナーワイヤーへ交換する。
今回使用したのは、SHIMANO純正のステンレス製シフトインナーワイヤー。
ちなみに、交換前に使用していたのはSHIMANOのOptislickワイヤーだった。
Optislickは表面処理によって摺動抵抗を低減した製品だけれど、今回は一般的なステンレスワイヤーへ変更してみた。
耐久性や操作感がどの程度変わるのか、今後の経過が気になるところだ。
交換前のワイヤーは約2,500kmで破損
今回のワイヤーは、今年1月にG21を組み立てたときから使用していたもの。
故障までの走行距離は約2,500kmだった。
距離だけを考えると、個人的には少し早いように感じる。
ただし、シフトワイヤーの寿命は走行距離だけで決まるわけではない。
僕の場合、通勤ルートには信号が多く、ストップアンドゴーを頻繁に繰り返している。
しかも、普段はフロントをほぼアウター固定にして、リアの変速を多用する乗り方だ。
そのため、同じ2,500kmでも、変速操作の回数は比較的多かった可能性がある。
また、STI内部ではワイヤーが繰り返し曲げられるため、素線に疲労が蓄積することも考えられる。
今回の破損も、こうした条件が影響した可能性はある。
ただし、正確な原因は特定できていない。
ワイヤーの取り回しや内部での接触状態など、ほかの要因が関係していた可能性もある。
今回Optislickが破損したからといって、Optislickそのものの耐久性が低いと結論付けることはできない。
今後は通常のステンレスワイヤーでどの程度使用できるか、経過を観察してみたい。
ワイヤー交換自体は難しくなかった
破損したワイヤーの摘出には苦労したけれど、新しいワイヤーへの交換自体は比較的簡単だった。
シフト機構を所定の位置に戻し、新しいインナーワイヤーを通して、リアディレイラー側で固定する。
その後、変速調整を行えば作業は完了だ。
ただし、ワイヤーの通し方や固定方法は、STIやディレイラーの仕様によって異なる。
作業時にはSHIMANOのディーラーマニュアルなどを確認してほしい。

SIS調整をして作業完了
新しいワイヤーを取り付けたら、最後にリアディレイラーのSIS調整を行う。
これがまた、毎回少し面倒。
基本的にはワイヤーの張りを調整し、各段でスムーズに変速できる状態を目指す。
ただし、今回のような11速の変速機構では、ワイヤーの張りがわずかにずれただけでも変速性能に影響する。
実際にクランクを回しながら変速を繰り返し、引っ掛かりや異音が出ないように調整した。
なお、SIS調整は単に音が静かになればよいというものではない。
リアディレイラーの位置やワイヤーの張りが適切であることが重要なので、基本的にはメーカーの指定する調整手順に従って作業したい。
また、新しいワイヤーを取り付けた直後は、アウターや各部のなじみによって張力が変化することがある。
しばらくは実走しながら、必要に応じて細かな調整を続けるつもりだ。
修理後の変速はどうなった?
修理後、実際に走ってみたところ、変速は問題なく動作している。
以前と比べると、ワイヤーの引きが少し軽くなり、クリック感も多少改善したような気がする。
ただし、これはあくまで体感だ。
そもそも僕のG21は、
シフト・ブレーキともに機械式で、ケーブルはフルアウターかつフレーム内装という構成になっている。
そのため、ワイヤーの取り回しが長く、曲がりも多い。
STIの操作感は、元々それほど軽くない。
今回のワイヤー交換で劇的に軽くなったというわけではないけれど、正常に変速できるようになっただけでも十分だ。
今思えば、故障の前兆があったのかもしれない
今回のトラブルを振り返ってみると、実は少し気になる症状があった。
故障する前から、変速が若干渋くなっていたような気がするのだ。
さらに、軽いギア付近で加速しているとき、突然ペダルを踏み込む力が抜けるような感覚があった。
チェーンが一瞬外れたような、空回りしたような感覚。
当時はあまり気にしていなかったけれど、今になって考えると、変速機構が正常に動作していなかった可能性もある。
ワイヤーのほつれによって張力が不安定になり、リアディレイラーの位置がずれていたのかもしれない。
ただし、この症状が今回のワイヤー破損によるものだったかどうかは分からない。
チェーンやスプロケットの摩耗、変速調整のずれなど、ほかの原因でも似た症状が起こり得るからだ。
いずれにせよ、変速が渋くなったり、ペダリング中に不自然な空転感が出たりした場合は、放置せずに点検した方がよさそうだ。
STIの変速不良が起きたら、まずワイヤーも疑ってみよう
今回の経験で改めて感じたのは、STIの操作感がおかしくなったからといって、必ずしもSTI本体が故障しているとは限らないということだ。
特に、以下のような症状が出ている場合は、シフトワイヤーの状態を確認する価値があると思う。
- 変速レバーのクリック感が突然なくなった
- ワイヤーを巻き取れるのに、リリースできない
- 一部のギアにしか変速できなくなった
- STI内部からワイヤーの素線が見えている
- 以前より変速操作が渋くなっている
もちろん、こうした症状がすべてワイヤーのほつれによって発生するわけではない。
しかし、今回のようにワイヤー交換だけで復旧できるケースもある。
高価なSTIを交換する前に、一度確認してみてもよいのではないだろうか。
なお、ワイヤーがほつれた状態で無理にレバーを操作すると、内部機構にさらに絡まる可能性がある。
異常を感じたら操作を繰り返さず、安全な場所で点検することをおすすめしたい。
まとめ:STIの故障じゃなくて本当に良かった
今回は、SHIMANO 105 ST-R7000に発生した変速不良について紹介した。
最初はSTI本体の故障を疑ったけれど、実際には内部でシフトワイヤーがほつれ、変速機構の動作を妨げていたことが原因だった。
破損したワイヤーのタイコが取り出せず、少々苦労したものの、STI下側のカバーを外すことで無事に摘出することができた。
そして、新しいシフトワイヤーへ交換したところ、変速機能は正常に復旧。
結果的には、大きな出費をせずに修理することができた。
それにしても、組み立てから約2,500kmでここまでワイヤーがほつれるとは思わなかった。
僕の通勤スタイルはストップアンドゴーが多く、リアの変速操作も頻繁に行う。
それが今回の破損にどの程度影響したのかは分からないけれど、今後は走行距離だけでなく、変速の操作感にも注意していこうと思う。
特にSTI内部のワイヤーは、外から簡単に状態を確認できる場所ではない。
だからこそ、変速が渋くなったり、クリック感に違和感が出たりしたら、早めに点検することが大切なのだろう。
それにしても、G21に乗り始めてからというもの、何かと整備のネタが尽きない。
キャリアを取り付けたり、タイヤを交換したり、ブレーキを調整したり。
そして今度はシフトワイヤー…。
まあ、こうして自分で原因を調べて直すのも、自転車趣味の楽しさの一つなのかもしれない。
……できれば、通勤中に壊れるのだけは勘弁してほしいけれど。
それでは、また。

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