今回の記事の概要
通勤で使っているYOELEO G21のタイヤを、思い切って700×50Cへ交換した。
選んだのはPanaracer GRAVELKING X1の50C。
せっかくなので、色も限定カラーのブリティッシュグリーン。
そして今回はチューブレスレディ(TLR)で運用することにした。
これまで履いていたのは32Cのタイヤ+TPUチューブ。
50Cへの変更なので、数字だけ見ればかなり極端だ。
「さすがに重くなりすぎるんじゃないか」
「通勤時間が大きく伸びるんじゃないか」
「そもそも50Cなんて必要なのか」
自分でもそんなことを考えた。
しかし実際に交換して通勤で走ってみると、予想とはかなり違う結果になった。
確かに加速や登り、高速域の伸びは32Cの方がいい。
それでも普段の通勤にかかる時間はほとんど変わらず、それ以上に乗り心地と路面への安心感が圧倒的に良くなった。
今回は、なぜ32Cからいきなり50Cへ交換したのか。
タイヤ選びから初めてのTLR化、実際に通勤して感じた違いまでまとめてみたい。
そもそも、なぜ通勤バイクを50Cにするのか
G21では以前、舗装路での速さを求めてタイヤを細くすることも考えていた。
28Cまで細くすることも一度は検討したし、現実的なところでは32Cくらいが速さと快適性のバランスが良いだろうと思っていた。
そうして選んだのはIRC Jetty Plus 32Cに、CYCLAMIのTPUチューブ。



実際、32C+TPUチューブの組み合わせは軽快だった。
加速も良く、高速域までスッと速度が伸びる。
ただ、通勤で毎回約19km走っていると、別の不満が大きくなってきた。
自分の通勤ルートは平坦が多い一方で、舗装が荒れている場所も多い。
段差やグレーチング、路面の穴、荒れたアスファルトなどを常に気にしながら走る必要がある。
もちろん32Cでも走れないわけではない。
ただ、
「ここは少し減速しよう」
「この段差は避けよう」
「この荒れ方は嫌だな」
と、ずっと路面を選びながら走ることに少し疲れてきた。
通勤はレースではない。
速いことは大事だけれど、それ以上に毎回確実に目的地へ着けること、余計なストレスを減らすことも重要だ。
そこで考え方を変えた。
どうせG21は太いタイヤが入るグラベルフレームなのだから、思い切って太くしてしまおう。
候補として考えたのは、GRAVELKING SSの45CやIRC BOKEN PROの47Cなど。
舗装路中心なら、このあたりのセミスリック系の方が合理的だと思う。
しかし最終的には、
「せっかく変えるなら、ガッツリ太くして変化を楽しみたい」
という気持ちが勝った。
そうして選んだのがGRAVELKING X1 50Cだった。
Panaracer GRAVELKING X1 50Cを選択

Panaracer GRAVELKING X1 50C、
Amazonで購入。


重量は約660gと、これまで使ってきたタイヤに比べると倍以上に重い。
X1は見た目だけなら、かなりしっかりしたグラベルタイヤだ。
ただしセンター部分を見ると、細かいブロックが密集している。
舗装路で直進しているときにはこのセンター部分を主に使うため、見た目ほど舗装路で重くないのではないかと考えた。
実際、公式での説明でもそれに近い事が謳われている。
今回はさらに、2026限定カラーのブリティッシュグリーンを選んだ。
実物は、商品画像に比べてかなり明るい緑色。
性能には一切関係ない。
でも、どうせ毎日乗るなら見た目も気に入っている方がいい。
50mmハイトのカーボンホイールに50Cのブロックタイヤ、それも緑色。
元々ケーブルやボトルケージに差し色として緑を選んでいたのもあって、僕のG21に似合うんじゃないかと思う。
こうやって定期的に機材の力を使って、モチベーションを維持している。
今回は初めてTLRに挑戦
50C化に合わせて、今回はチューブレスレディ(以下TLR)にも挑戦した。
当初はTPUチューブを使うつもりだった。
しかし50Cまで対応し、
なおかつ50mmハイトのリムに使える長いバルブを持つTPUチューブがなかなか見つからない。
MTB用TPUチューブ+バルブエクステンダーも考えたが、部品も増えるし、気密に関わる箇所を増やしたくもない。
それに、エクステンダー取り付けのためバルブコアを分離できる物もかなり限られてしまう。
それならいっそ、TLRを試してみようということになった。
ホイールはRyetの50mmハイトカーボン。
リム内幅は約21mm。
シーラントには手元にあったPanaracerのものを使用する。
チューブレスバルブは、安くスペーサーなどの付属品も充実しているThinvik の物を使用。

バルブ長は余裕を持たせて85mm。
手に取って見た感じだと、安いわりに仕上げは上質だと思う。パッケージも金属製のケースで、高級感がある。
あとは実際に使ってみてシール性能やリムの形状との相性はどうか。
パンク時の非常用としては、Panaracer PURPLE LITEのグラベルバイク向けサイズのTPUチューブを携行することにした。
50Cは対応サイズの範囲を少し超えるが、あくまで帰宅するための緊急用として使う想定だ。
最初のビード上げ。そしてエア漏れ
初めてのTLRなので、当然ながら少し苦戦した。
まずシーラントを入れずにビードを上げて、気密性を確認することにした。
タイヤをホイールにはめること自体は、多少固いもののスムーズにいけた。
いよいよエアーを入れて、ビードを上げる。
石鹸水をビード周辺に塗りながら、フロアポンプで挑戦。
真夏の暑いガレージの中、必死でフロアポンプをポンピングする。
しかし、いくらポンピングしてもビードが上がらない。困った。
最終的にはタイヤサイド全周を手で引っ張り、ビードをリム側へ乗せながら空気を入れるという、かなり力技な方法で何とかビードを上げることができた。
最悪職場のコンプレッサーを借りてビードを上げることも考えていたので、自宅のフロアポンプだけで上がったのは嬉しかった。
……が、喜んだのも束の間。
ニップルホールやバルブ周辺から盛大にエアが漏れていた。
原因はリムテープ。
元々クリンチャーで使っていたのもあり、バルブホール周辺のテープの処理が甘かったらしい。
苦労してはめたタイヤを一度外し、リムテープを丁寧に貼り直すことになった。
使用したリムテープはこちら。
リムテープは失敗して貼り直すことも考えて安い物を選ぶべきか、
それとも高価なものを使えばその分失敗し辛く、気密を確保しやすいのか。
有識者の方、教えてください。
リムテープを貼り直して再挑戦
リムテープを貼り直し、再度ビード上げ。
今度はシーラントなしの状態でも3barまで問題なく入った。
バルブ根元から少し漏れがあったものの、バルブ固定のナット少し増し締めすると収まった。
この時点でニップルホールからの漏れもなし。
この状態を確認した後、ようやくシーラントを投入した。
結果的には、シーラントを入れる前に一度エアだけで漏れを確認したのは正解だったと思う。
もし最初のリムテープが不完全な状態でシーラントを入れていたら、リム内部へシーラントが入り込んでいた可能性もある。
少し手間は増えるが、初めて組むホイールならシーラント投入前に一度気密を確認しておくと安心だと思う。
シーラントなしでは一晩で空気が抜けた
気密を確認したあと、試しにシーラントなしの状態で一晩置いてみた。
結果は、数時間でほぼ完全に空気が抜けた。
一瞬不安になったが、チューブレスレディタイヤはタイヤ単体で完全な気密を持っているわけではない。
その後シーラントを投入すると、目立ったエア漏れはなくなった。
50Cという大容量タイヤなので、シーラントは十分な量を入れておきたい。
タイヤ全体の気密の確保、
パンク時の穴の補修力を考慮してタイヤ一本あたり90mlの量を入れた。
最初は手持ちの120mlしかなかったため、まずそれを前後60mlずつ入れ、不足分を後から補充することにした。
50Cでもフレームクリアランスは余裕
G21は公式のスペックだと、700Cで最大53mm程度のタイヤクリアランスがある。
実際に50Cを装着してみても、フロント・リアともにまだかなりの余裕があった。

フロント。全然余裕。60Cくらいまでいけそう。



リア周り。余裕あり。心配だったFDやチェーンとのクリアランスも余裕があった。
少なくとも通常の舗装路通勤で、タイヤとフレームのクリアランスに不安を感じるような状態ではない。
むしろ実際に50Cを入れてみると、見た目の収まりが妙に自然だった。
後述するハンドリングの変化も含めて、G21はやはりある程度太いタイヤを履かせることを前提に作られているフレームなのだと再認識した。
最初の試走。空気圧は前後2bar
組み上がったところで、まず短い試走へ。

空気圧は前後2barから試してみた。
正直、50Cのブロックタイヤなのでかなり重い乗り味を予想していた。
ところが走り出してみると、驚くほど普通に軽快だった。
もちろん32Cほど鋭く加速するわけではない。
高速域の伸びも32Cの方が明らかにいい。
それでも平坦路で25~30km/h程度を巡航するぶんには、それほど重さを感じなかった。
X1のセンター部分にブロックが密集していることや、TLR+低圧によって荒れた舗装でタイヤが跳ねにくくなったことも影響しているのだと思う。
そして、とにかく乗り心地が良い
50C化で一番感動したのはここだった。
乗り心地がものすごく良い。
荒れたアスファルトの細かな振動はかなり薄くなる。
ちょっとした段差やグレーチングも、以前ほど身構える必要がない。
32Cでは無意識に減速したり、ラインを変えたりしていた場所でも、そのまま突っ込んでいける。
これがとにかく楽だった。
「太いタイヤ=遅い」というイメージはあったが、実際の荒れた舗装では、タイヤが路面の凹凸を吸収してくれることで速度を維持しやすい。
単純な転がり抵抗だけでは分からない良さがある。
ハンドリングまで自然になった
意外だったのがハンドリング。
50Cに交換してから、以前よりもハンドリングが自然に感じるようになった。
これはタイヤの接地感が増したこともあるだろうし、タイヤ外径が大きくなったことで車体のジオメトリが本来想定された状態に近づいた可能性もある。
G21はそもそもグラベル用のフレームだ。
32Cのロード寄りタイヤでも問題なく走れるが、50Cを履かせた状態の方が「このフレーム、本来こういうタイヤを履くためのものなんだな」と感じる。
剛性やジオメトリも含め、太いタイヤとの組み合わせでバランスが取れるよう設計されているのかもしれない。
というか、間違いなくそうだ。
そして初めての通勤へ
試走で感触が良かったので、そのまま普段の通勤でも使ってみた。
比較対象は以前の32C+TPUチューブ。
| データ | 32C+TPU | 50C+TLR |
|---|---|---|
| 距離 | 約18.04km | 約17.59km |
| 平均速度 | 約26.0km/h | 約26.3km/h |
| 走行時間 | 41分30秒 | 40分00秒 |
| 経過時間 | 54分44秒 | 52分06秒 |
| 平均ケイデンス | 100rpm | 99rpm |
| 平均心拍 | 154bpm | 160bpm |
同じルートを、同じ時間帯に走っている。
距離が違うのは、GPSサイコンの測定誤差によるもの。
走行条件や信号、風などが違うので、この数字だけで50Cの方が速いとは言えない。
距離も少し違うし、サイクルコンピューターの平均速度も参考値程度だ。
それでも驚いたのは、全体の所要時間がほとんど変わらなかったこと。
50Cにすれば通勤時間が明確に伸びると思っていたので、これはかなり意外だった。
速度の出方は明確に変わった
詳細な速度分布を見ると、違いは面白い形で現れた。
| 速度域 | 32C+TPU | 50C+TLR |
|---|---|---|
| 0~18km/h | 18.8% | 20.4% |
| 18~25km/h | 25.2% | 21.1% |
| 25~30km/h | 24.7% | 33.3% |
| 30~35km/h | 19.7% | 15.3% |
| 35km/h以上 | 11.5% | 9.8% |
30km/h以上の割合は、50Cの方が減っている。
これは体感通り。
加速、高速域、登りでは32Cの方が明らかに軽い。
一方で50Cでは、25~30km/hの滞在時間がかなり増えた。
一度巡航速度に乗ってしまえば、その速度を維持するのは意外と楽。
そして荒れた舗装や小さな段差で減速する必要が減った。
32Cでは、
加速する
↓
30km/h以上まで伸びる
↓
路面状況などで減速する
↓
また加速する
という走りになりやすかった。
対して50Cでは、
加速は少し鈍い
↓
25~30km/hへ
↓
そのまま淡々と維持する
という走り方になったように感じる。
最高速ではなく、実際の道路で速度を維持する能力。
通勤ではこちらもかなり重要なのだと思う。
心拍は少し上がった
平均心拍は154bpmから160bpmへ上がった。
約6bpmの差なので、全く同じ負荷とは言えない。
50C化によって重量や転がり抵抗が増えた影響は当然あると思う。
ただし気温、風、体調、信号のタイミングなどでも心拍は変わるため、一回のデータだけでタイヤによる差とは断定できない。
少なくとも、
「50Cにしたら明らかに脚が終わるほど重くなった」
という感じではなかった。
通勤時間がほぼ変わらず、乗り心地が大幅に改善したことを考えると、自分の用途では十分に許容できる差だ。
雨の日の安心感も大きい
帰宅時に雨が降り、濡れた路面を走る機会もあった。
ここでも50C化のメリットを感じた。
もちろん太いタイヤだから絶対に滑らないわけではない。
濡れた白線やマンホールなどは今まで通り注意が必要だ。
それでも、荒れたウェット路面を走っているときの接地感は32Cとはかなり違う。
路面が濡れていても以前ほど怖さを感じず、安心して走ることができた。
通勤車として考えると、この安心感は最高速度以上に大きなメリットだと思う。
デメリットもある
もちろん良いことばかりではない。
まず明確に感じるのは、加速・登坂・高速域の伸び。
特に長い登りではタイヤ重量の増加を感じる。
ホイール外周部が重くなるため、ストップ&ゴーでも32C+TPUの軽快さには敵わない。
そしてもう一つ、自分のG21では50C化によってトーオーバーラップが発生した。
低速でハンドルを大きく切ると、前輪と靴の先端が接触する。
通常の巡航中にそこまでハンドルを切ることはないので大きな問題ではないが、Uターンや発進時などではペダル位置を意識する必要がある。
またTLRは、チューブ運用より空気圧管理に少し手間がかかる。
低圧なので少しの圧力低下が割合として大きく、シーラントの状態やバルブ周辺にも気を配る必要がある。
このあたりは、32C+TPUの「空気を入れて走るだけ」という気楽さには敵わない。
それでも50Cにして良かった
今のところ、50C化にはかなり満足している。
速さだけを求めるなら、32Cの方がいい。
綺麗な舗装路を走り、高速域まで気持ちよく伸ばしたいなら、自分も32Cを選ぶと思う。
でも通勤では事情が違う。
毎回同じ時間に出発し、荒れた舗装も段差も走り、場合によっては濡れた路面も通らなければならない。
そして途中でリタイアするわけにもいかない。
そう考えると、通勤車に必要な「速さ」は最高速度だけではない。
どんな路面でも余計な減速をせず、身体への負担を抑えながら、一定の速度で走り続けられること。
今回50Cへ交換して、そのことをかなり実感した。
G21はやっぱりグラベルバイクだった
今回の交換で改めて感じたのが、G21というフレームの性格。
32Cを履かせればロードバイクに近い感覚で走れるし、50mmハイトのカーボンホイールを組み合わせれば見た目もかなりロード寄りになる。
でも50Cを履かせたときの自然なハンドリングや乗り心地を経験すると、
「やっぱりこれはグラベルバイクなんだな」
と思う。
太いタイヤを履いても極端に鈍重にならず、荒れた舗装ではむしろ速度を維持しやすい。
G21の剛性やジオメトリがどこまで影響しているかは断定できないが、少なくとも自分には50Cを履かせた状態のバランスがかなり自然に感じられた。
まとめ
今回、G21のタイヤを32C+TPUからGRAVELKING X1 50C+TLRへ変更した。
結果を簡単にまとめると、
・加速は32Cより鈍くなる
・登りも少し重い
・高速域の伸びは落ちる
・平坦の25~30km/h巡航は想像以上に軽快
・荒れた舗装で速度を落とす場面が大幅に減った
・乗り心地は圧倒的に良くなった
・濡れた路面での安心感も増した
・通勤の所要時間はほとんど変わらなかった
・TLR化は最初こそ大変だったが、50Cとの相性はかなり良い
・トーオーバーラップや空気圧管理などのデメリットはある
という感じ。
「50Cなんて舗装路では重すぎるだろう」
と自分でも思っていた。
でも実際に毎日の通勤路を走ってみると、必ずしもそうではなかった。
速さを少し犠牲にして快適性を手に入れた、というより、
「瞬間的な速さ」を少し手放して、
「実際の道路を安定して速く走る能力」を手に入れた、
という感覚の方が近い。
50mmディープのカーボンホイールに、50Cのブロックタイヤ。
我ながらかなり変な自転車になった。
でも、荒れた路面を気にせず、雨でも安心して、それなりの速度で約19kmを走り切れる。
通勤用高速多目的車としては、かなり理想に近づいた気がしている。
今後さらに通勤で距離を重ねて、耐久性やシーラントの管理、タイヤの摩耗などについても分かってきたら追記したい。

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