はじめに
先日、愛車のYOELEO G21のタイヤを32Cから50Cのグラベルタイヤへ交換した。

タイヤを太くしたことで乗り心地や走破性は大幅に向上。
通勤用としてかなり理想的な仕様になったのだけど、タイヤ交換と同時にもう一つ手を入れた部分がある。
ブレーキだ。
これまでは前160mm、後140mmのディスクローターを使用していたが、
今回これを前後とも160mmへ変更した。
ただし、単純に「ローターを大きくして制動力を上げたい」というだけではない。
以前から使っていたTRP SPYREとローターの組み合わせにも、少し気になる部分があった。
そこで今回は、
・ローターをシマノ SM-RT54へ交換
・リアローターを140mmから160mmへ大径化
・ブレーキパッドもシマノ B05Sへ交換
という形で、ブレーキ周りをまとめて見直してみた。
結果としてブレーキのフィーリングは良くなったのだけど、
作業中には予想外の「ローターとキャリパー本体が干渉する」というトラブルも発生。
今回は、交換した理由から作業、トラブルへの対処、実際に走ってみた感想までまとめてみる。
交換前のブレーキ構成
僕のG21では、ブレーキキャリパーにTRP SPYREを使用している。

機械式ディスクブレーキながら左右両方のパッドが動くデュアルピストン構造で、
機械式としてはかなり使いやすいキャリパーだと思う。
交換前に使用していたローターはAliExpressで購入したRYET製。
サイズは、
フロント:160mm
リア:140mm
という組み合わせだった。
軽量なローターで、これまで普通に使用できていたのだけど、一つ気になっていたことがある。
SPYREは、比較的幅の広いブレーキパッドを使用する、いわゆるワイドタイプのキャリパー。
一方、使用していたRYETのローターは制動面の狭いナロータイプだった。
実際にブレーキとして機能していたので「使えない組み合わせ」ではなかったものの、パッドとローターの当たり方を考えると、これがSPYRE本来の状態なのか?という疑問は以前からあった。
制動力についても、もう少し欲しいと感じる場面があった。
50C化を機にブレーキも見直す
今回、タイヤを32Cから50Cへ大幅に太くした。
タイヤそのものも重くなり、車体のキャラクターも以前より明確にグラベル寄りになった。
だったら、このタイミングでブレーキも見直してしまおう。
そう考えて選んだのが、
シマノ SM-RT54 160mm
だった。

センターロック式で、ローター厚は1.8mm。
決して高級なローターではないけれど、
今回欲しかったのは軽さよりも、SPYREのワイドパッドときちんと組み合わせられることと、日常的に安心して使えること。
購入価格は1枚2,553円だった(2026年8月現在)。
ブレーキパッドも同時交換
ローター交換と同時にパッドも交換した。
使用したのはシマノ B05S レジンパッド。
購入価格は1個1,200円ほど。

TRP SPYREと互換性のあるワイドタイプのパッドだ。
これまで使っていたSPYRE純正パッドはセミメタルだったため、
SM-RT54との組み合わせを考えて今回はレジンパッドへ変更した。
今回は単なる消耗品交換ではなく、ローターとパッドを含めた組み合わせそのものを見直すことにした。
リア160mm化に必要なアダプター
フロントは元々160mmだったため、基本的にはローターを交換するだけ。
問題はリア。
これまでは140mmローターだったため、160mmへ変更するにはキャリパー位置を外側へ移動させる必要がある。
そのためTRP純正のアダプターを使用した。

このアダプターはSPYRE購入時に入手していたものだったので、今回は新たに用意する必要はなかった。
また、SM-RT54にはセンターロック用のロックリングも付属していたため、
ローターとパッド以外に追加購入した部品は特になし。
交換作業自体はかなり簡単
ディスクローターの交換そのものは難しくない。
大まかな流れとしては、
・ホイールを外す
・センターロックのロックリングを外す
・古いローターを取り外す
・新しいSM-RT54を取り付ける
・ロックリングを規定トルクで締める
・ブレーキパッドをB05Sへ交換
・リア側に160mm用アダプターを取り付ける
・ホイールを戻す
・キャリパー位置を調整する
という感じ。
主に使用した工具はトルクレンチと、内セレーションタイプのセンターロック用工具。
ここまでは特に問題なく進んだ。
どう調整しても擦れる。原因はパッドではなかった
問題が起きたのは、組み上げ後のキャリパー調整。
リアホイールを回すと、どうしてもローターが擦っているような音が消えない。
ディスクブレーキではよくある話なので、最初は単純にパッドとローターが擦っているのだと思った。
SPYREの左右パッド位置やキャリパーのセンターを何度も調整してみる。
しかし、どうやっても擦れる。
そこでよく確認してみると、ローターと接触していたのはブレーキパッドではなかった。
なんとローター外周が、SPYRE本体のスリット上部、いわば「天井」に当たっていた。
ローターとキャリパー本体のクリアランスがほぼゼロ

この状態では、いくらパッドの位置を調整しても直らない。
ローターに対してキャリパーそのものがわずかに内側(中心方向)へ入りすぎているからだ。
最初は、
・アダプターの種類が違う?
・ローターサイズを間違えた?
・ホイールの固定位置がおかしい?
・そもそもSPYREとSM-RT54の相性?
など色々疑った。
しかし、使用しているのはTRP純正の160mm用アダプター。
フロント側では同じ160mmローターを使用しても十分なクリアランスがある。
スルーアクスルも正しく固定されている。
各部の寸法も測って確認してみたが、単純な組み付けミスではなさそうだった。
原因として考えられるのはフレーム側の台座
ここで思い当たったのが、G21のリアブレーキ台座。
このフレームは新品時からキャリパー台座の平面がかなり崩れており、
以前キャリパーを取り付ける際に面を修正している。
元の状態が悪かったため、それなりの量を削っている。
つまり、台座そのものが本来よりわずかに低くなっている可能性がある。
もちろん、これが原因だと断定することはできない。
アダプター、キャリパー、ローター、フレームなど、それぞれの部品には当然わずかな寸法公差がある。
今回は、
「修正によって低くなった可能性のあるフレーム台座」
+
「各部品の小さな寸法差」
が、たまたま全てクリアランスを狭くする方向へ積み重なったのではないかと思っている。
部品単体では互換性があっても、実際の車体ではこういうことも起こる。
なかなか勉強になった。
1mmの平ワッシャーをシムとして入れて解決
最終的には、キャリパーとアダプターの間に1mm厚の平ワッシャーを入れた。
これによってキャリパー位置をわずかに外側へ移動させ、干渉を回避。
ローター外周とキャリパー本体の間にクリアランスができ、問題なく回転するようになった。
なお、これはあくまで僕の車体で行った対処方法。
メーカーが指定している正式な調整方法ではない。
ブレーキは安全に直結する部品なので、同じ症状が出たからといって安易にワッシャーを追加することを推奨するものではない。
本来であれば、フレーム、アダプター、キャリパーの寸法や取り付け状態を確認し、原因を特定したうえで対処するべきだと思う。
僕自身もこの状態で使用しながら異常がないか確認し、不具合が出るようならリアを140mmへ戻すつもり。
実際に走ってみた。制動力は確実に上がった
交換後、実際に通勤で使用してみた。
まず制動力については、以前より明確に上がったと感じる。
ただし今回はローターだけではなく、
・リア140mm→160mm
・ローター変更
・パッド変更
・32C→50Cタイヤ
と複数の変更を同時に行っている。
特にタイヤのグリップ向上による影響はかなり大きいはず。
そのため「SM-RT54にしたからこれだけ効くようになった」とは言えない。
初期制動より、握り込んだ時が良くなった
レバーを握るために必要な力そのものは、交換前とそれほど変わった印象はない。
初期制動についても劇的な違いは感じなかった。
一方で、レバーをさらに握り込んでいった時のコントロール性は明確に良くなった。
必要な分だけ制動力を立ち上げやすく、以前より扱いやすい。
ブレーキタッチも若干カッチリしたように感じる。
このあたりはローターとパッドを含めた組み合わせが適正になった効果なのかもしれない。
劇的な変化ではないけれど、ブレーキとして全体的に「ちゃんとした」感触になった。
リア160mm化は必要だった?
ここは正直、微妙なところ。
フロントは制動力の多くを担当するため160mmのメリットを感じやすい。
一方、リアは元々ロックしやすい。
140mmでも制動力が不足して困っていたわけではないため、純粋な制動性能だけを考えるなら、
僕の使い方ではリア160mm化の必要性はそれほど高くないと思う。
ただし前後を同じ160mmにしておけば、消耗具合に応じてローターを前後で入れ替えることもできる。
通勤車として長く使うことを考えると、この整備性は地味にありがたい。
絶対に必要な変更ではないけれど、実用面では悪くないと思っている。
50Cタイヤとの組み合わせはかなり良い
今回同時に装着した50Cタイヤとの相性はかなり良い。
太いタイヤによって路面から得られるグリップが増え、それに合わせてブレーキ側にも余裕ができた。
雨の日も走ったが、ウェット路面で特に不安を感じることはなかった。
ただし、ここについてはブレーキ以上に50Cタイヤによるグリップ向上の影響が大きいと思う。
舗装路や多少荒れた道を含む通勤用途なら、機械式のSPYREでも十分実用的。
ただ、本格的なグラベルを高速で走ったり、長い下りで繰り返し強い制動を行ったりするなら、そもそも油圧ディスクブレーキの方が向いていると思う。
デメリットは重量増


元々使用していたRYET製のローターが前後で214g程度だったのに対して、

SHIMANO SM-RT54は139g×2、前後で278g。
ローターのみで64gの重量増になった。さらに、


付属するロックリングも、シマノ製の物が一個当たり7g程重い。前後合わせて14gの増加。
ローターと合わせて、前後で78gの重量増となった。
SM-RT54は特別軽量なローターではない。
さらに今回はリアを140mmから160mmへ大径化し、ロックリングも含めて以前の軽量なRYETローターより明確に重くなった。
重量だけを追求するなら完全にデメリット。
ただし今回は同時にタイヤを32Cから50Cへ変更している。
そちらの重量増が圧倒的なので、走行中にローター単体の重量差を感じ取るのは正直難しい。
見た目についても好みが分かれそう。
軽量ローターに比べるとSM-RT54はいかにも実用品という雰囲気で、ロードバイクらしい軽快さは薄くなる。
ただ、今の50Cを履いたG21にはむしろ似合っている気がする。
まとめ:劇的ではない。でも「ちゃんとした組み合わせ」になった


今回、
RYET製ローター F160mm/R140mm
から、
シマノ SM-RT54 F160mm/R160mm
へ交換した。
同時にブレーキパッドもシマノ B05S
へ変更した。
結果として制動力は向上し、特に握り込んだ時のコントロール性が良くなった。
一方で、「ブレーキが別物になった!」というほど劇的な変化ではない。
個人的に一番大きかったのは、
「TRP SPYREのワイドパッドに対して、ちゃんと合ったローターを使っている」
という安心感かもしれない。
自転車のパーツは、単体のスペックだけを見ればもっと軽いもの、もっと高性能なものはいくらでもある。
でも通勤で使う自転車の場合、求めているのは必ずしも最軽量や最高性能ではない。
毎日安心して使えて、雨でも走れて、多少路面が荒れていても止まれて、なるべくトラブルなく家と職場を往復できること。
僕のG21は、50Cタイヤを履かせたことで随分グラベルバイクらしくなった。
そこに今回のブレーキ変更が加わって、また少し「通勤用高速多目的車」として完成度が上がった気がする。
ちなみに今回発生したリアキャリパーとローターの干渉は、かなり特殊なケースだと思う。
普通に取り付けて終わるつもりが、まさか寸法を測って原因を考えるところまで行くとは思わなかった。
こういう予想外の出来事も含めて、自転車を自分で組んで弄る面白さなのかもしれない。
※本記事は筆者の車体で行った作業の記録です。
ブレーキは安全に直結する部品です。特にキャリパー取り付け部へのワッシャー追加はメーカー指定の調整方法ではありません。
同様の作業を行う場合は各部品のメーカー指定や締付トルクを確認し、不安がある場合は自転車店など専門家へ相談してください。

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